私の思い

こんにちは、薬匠堂の西山です。
ここでは、簡単に自己紹介をさせていただきます。

私が漢方に出会い、本格的に勉強を始めたのが25歳のとき。現在に至るまでに、様々な病気でお悩みの方々と出会い、多くの経験を積ませていただきました。

そして、これらの知識と経験を生かして病気でお悩みの方々のお役にたつことこそが、私自身の人生の役割(使命)だと思い、毎日病気でお悩みの方々のご相談に親身になり全力でサポートさせていただいております。このように考えるようになったのも、あるきっかけがありました。

私は福岡県北九州市の小倉生まれです。 父は大の競馬好きで、子供のころには近くの「小倉競馬場」に連れて行ってもらったことをよく覚えています。そのせいか、私も大学時代にはサラブレッドに夢中になっていました。馬券は買えませんので、友人たちと“持ち馬”を勝手に決めて、馬主気分を味わう遊びをしていたものです。シャダイカグラに一喜一憂し、オグリキャップに泣いたことを思い出します。

その父が、私が大学3年の頃、特定疾患として難病指定されている『筋萎縮性側索硬化症』という診断を受けました。『筋萎縮性側索硬化症』という疾患は、発症原因は不明で、筋肉が長い時間をかけて萎縮し続けるものです。

筋力が落ちますので、初期においては疲労感・脱力感が生じ、やがては言葉も発せない、ものも飲み込めない状況になります。 最後には、呼吸筋すら機能しなくなり命を落とす病気なのです。

大学時代は実家への帰省も年に数回でしたので、父の看病は母に任せっきりでした。たまに帰れば症状も進行しており、身体が思うように動かない父が、母から介護を受けています。脳は正常なまま身体が動かなくなってくるので、父の精神的な苦痛は計り知れないものだったことでしょう。

その当時の私は、病気や対策法に関する医学的知識は全く無かったので、病院での対策を傍らで見ているだけです。自動車整備工だった父・・・。 油汚れがとれない大きなごつごつした手もその時は小さくなっていました。父は苛立ちやストレスで、毎日のように母に感情をぶつけます。

母はじっと耐えて看病を続けるしかありません。 そんな両親の姿を見て、そばに着いて父の世話ができないこと、母の手伝いができないことに、ただただ歯がゆさを感じていました。「今は医師に任せて、この病院に入院しておくしかない。」 この言葉を言い訳にしていた私がいたのです。

私は大学を卒業後、外資系の製薬会社に入社しました。医薬情報担当者(MR)として、ドクターと面談する機会の多い仕事でしたが、父の病気に関しての 新たな情報は全く得ることができません。

この時点では、「漢方薬」や「東洋医学」ということを僅かながらにも頭に思い浮かぶことすらありませんでした。仕事上、西洋医学の知識しかない私は、父に対して現行の対策法の必要性と価値を理解してもらうために、理論(理屈)を並び立てて説明するばかり・・・。 父だけが感じている“苦痛・ストレス”を理解してあげようともせずに、父が口にする“不安・不満”は、単なる「わがまま」としてしか 感じていなかったように思います。

そして25歳の頃、私は漢方と出会うことになります。「もしかすると、まだ方法があるかもしれない・・・。」そんな思いでがむしゃらに漢方の勉強をしたものです。それからまもなく、父は59歳という若さで他界。

医療業界に従事していた私は、父に対して何もできなかったことへの「無力感」を若干ながら感じてはいたのですが、正直なところ、ほっとした感覚があったことも否めません。

もう、父の苦しそうな姿を見なくてよいのですから・・・。

その後、ますます漢方医学の研鑚を深めていくことになります。漢方理論を学ぶにつれて、その考え方に強く共感し、「病気の捉え方」も大きく変わりました。

『病気や症状』を見るのではなく、その病気を抱えてしまった『病気でお悩みの方々(の環境)』を見つめることができるようになりました。 お薬もとても大切です。でも、病気でお悩みの方々を思いやりいたわる気持ちが、薬以上に大切なことが分かりました。

『“知識”以上に、“心”が大切なこと』

これが理解できたからこそ、『病気でお悩みの方々にしか分からない“不安”を共に感じること。そして、ひとつずつ“不安”を取り除くこと』

これが最も大切なことだと分かりました。まさしく、私が父に対してできなかったことです・・・。

今、私は宮崎で暮らしていて相変わらず、実家の福岡へはたまにしか帰ることができません。

実家に帰った時には父の仏壇に向かい、「ごめんね。 でも、ありがとうね。今、この道を歩んでいるのも父ちゃんのおかげです。」 と、感謝の思いで手を合わせています。

私の中では「父が抱えていた苦しみや不安から逃げていた後悔の念」と「今なら父のような病気でお悩みの方々にも真正面から向き合える、という自信」 が今の仕事の大きな原動力になっています。

こんな私ですが、病気でお悩みになっている方々とのご縁をいただけましたら、父が気づかせてくれたこの想いを胸に私自身の家族に接するように本音でお話をさせていただきます。

最後になりますが、私が小さい頃、馬が大好きだった父がお酒を飲みながらいつも話していたことをご紹介させて下さい。

『慎ちゃん! どんな馬が“名馬”か知っとうか??

名馬っち言われるのは、一番でゴールする馬じゃあないとよ。

「無事是名馬 ぶじこれめいば」っちゅう言葉があるんやけど、みんなを元気にさせて、みんなが感動するような馬は、3着でも10着でもドンケツの時でも、いつも一生懸命に何歳になろうが元気に走り続ける馬なんちゃね。

こんな馬こそが“名馬中の名馬”っちゃねぇ・・・。

慎ちゃん! 健康でいつも元気じゃないと名馬になれんとぞ。

だから、好き嫌いせんとたーっぷり野菜食えちゃ!』

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