胸水胸水対策のための必須条件
『胸水を出す』と同時に『胸水を溜めない』対策

薬匠堂@漢方カウンセラー 西山

自己紹介ページ「私の思い」~ご一読下さい〉

胸水がなかなか治らずにお悩みの方へ。胸水対策の成功には「6つの条件」があります。つらい胸水を早く楽にするためにも、速やかに、この6つの条件をクリアするための対策を始めてみてはいかがでしょうか。胸水で悩んでいる方々の苦しさは言葉では言い表せないほどです。

『息ができない』『声が出ない』『咳が止まらない』、、、その結果『眠れない』

このような状態が続けば、体力も気力も落ちていくばかり。特に、息苦しさに加えて、咳が止まらない方々と話していると、「胸水のつらさ」を感じると同時に「胸水の恐ろしさ」を思い知らされます。「1日でも早く、この胸水のつらさから解放してあげたい。」との思いで、長年、胸水への漢方対策に取り組んでいます。

腹水の漢方対策と同様に、胸水においても『胸水を出す』だけでは不完全です。「利尿剤で胸水を出す」「穿刺して胸水を出す」という治療は、一時的には楽になりますが、その後また胸水貯留が始まります。よって、『胸水を出す』と同時に『胸水が溜まらないようにする』ための漢方対策で胸水改善に導くのです。

そのためには、胸水が溜まる原因を明確に理解しなければなりません。そして、胸水貯留の原因に対して漢方対策することこそ「胸水が溜まらないようにする」対策にほかなりません。胸水貯留の原因は、大きく分けて3つあります。

① 「癌による癌性胸膜炎」や「肺炎」などの原因となる『炎症性の胸水』
② 「肝硬変」や「心不全」などの原因となる『うっ血性の胸水』
③ 「癌」や「肝硬変」などで生じる『アルブミン減少による胸水』

私が行う胸水への漢方対策法は、「胸水を出す」という対策に加えて、上記3原因をふまえた『胸水が溜まらないようにする』漢方対策によって胸水改善に導いています。

●胸水貯留の際の『生活養生法』

胸水の際、『生活養生法』に関して、多くの方々がお悩みになっています。というのも、「細かな指導がないのでどうしたらよいのかわからない」と皆様おっしゃるのです。実際に、私も『生活養生法』を簡単にお伝えすることができません。なぜならば、全ての方々が同じ養生法を実践してはいけないからです。

皆様それぞれに症状が異なっています。もちろんのこと、血液検査数値も違います。1日の排尿量や排便回数も異なれば、今現在の治療法や服薬状況も異なります。これらを詳しく確認した時点で、お一人お一人に適した『生活養生法』をお伝えできるのです。お一人お一人に合った『生活養生法』を見つけなければなりません。

*たとえば、以下のような点は、それぞれの方で方法が異なります。

(『生活養生法』だけでなく『治療法』も、お一人お一人の状態によって方法や考え方が変わりますのでご参考になさってください。)

★「食事」 十分な量の食事を摂る必要がある方と、少量の食事で抑えなければならない方に分かれます。また、食事の内容においても「胃腸での消化・吸収」や「タンパク摂取」に関して注意が必要です。
★「水分摂取」 積極的に水分を飲まなければならない時、なるべく水分を控えるべき時があります。また、どのような水分が適切なのかも患者さんによって異なります。
★「塩分摂取」 一般的には塩分を控えるように考えがちですが、塩分を控えれば控えるほど体調悪化が進むケースも多々あります。
塩分を控える状態なのか、控えてはならない状態なのかを見極めなければなりません。
★「身体を温める」 身体を温めることはとても大切です。しかしながら、『温め過ぎ』は決して良くありません。
患者さんの「炎症」と「冷え」のそれぞれの程度を確認して、温め方を決めていくとよいでしょう。
★「身体を動かす」 適度に身体を動かすことは、血流向上に働き効果的です。
ただし、「現時点ではなるべく動くこと、歩き回ることを控えたほうがよい」という時期もあります。
★「温泉・岩盤浴など」 これらの方法も良い面と悪い面の両者が存在します。
とても良い方法なのですが、いくつかのルールを守りながら実践しなければ、かえって悪影響になることもしばしばです。
★「排尿」 尿がよく出ることはとてもよいことです。可能ならば、1日の排尿回数、1日の排尿量がわかるとよいでしょう。
というのも、尿がよく出る時こそ注意しなければならないことがあります。一度、尿量をチェックしてみてください。
★「排便」 便秘の時に便秘薬を服用し、下痢の時に下痢止めを服用してはいけません。(患者さんそれぞれの状況を見て判断します。)
排便を安定させる方法も様々ありますので、その患者さんに合った方法を見つける必要があります。
★「脱水」 前述しましたように、胸水患者さんは「脱水」に陥りやすいものです。脱水は一気に身体の機能を低下させますので、細かな日々のチェックが必要です。
★「点滴」 点滴治療にも「電解質の点滴」「利尿剤の点滴」「アルブミンの点滴」など様々です。そして、これらの点滴をするべき時と点滴をしてはならない時があります。点滴時期を間違えると、胸水は悪化しますので注意しなければなりません。
★「穿刺」 基本的に、穿刺はなるべくしないほうがよいのですが、穿刺をせざるを得ないときもあります。
その際に、『どのような方法の穿刺』で『どれくらいの量』を『どのようなタイミング』で穿刺するかが重要なポイントです。

以前に比べて、今では「胸水」や「息苦しさ」が楽になる方々が格段に多くなってきました。それは、上記の様々な養生法を実践しながら漢方薬を服用していただいているからです。胸水への漢方対策は、決して簡単なものではありません。だからこそ、胸水でお悩みの方おひとりおひとりに合った方法を実践していただきたいと心より祈っております。

お一人お一人に適した「養生法」「治療法」を見極めるには、『詳しい状況・情報』を教えていただければお伝えします。ご遠慮なくご連絡下さい。

◆胸水への“6つ”の漢方対策ポイント

胸水を楽にするために、なぜこの6ポイントを対策しなければならないのかを詳しく解説しています。『胸水を出す』と同時に『胸水を溜めない』対策がいかに重要かがお分かりになると思います。

① 血流の悪化を改善する対策

「癌による癌性胸膜炎」「肺炎」や「肝硬変」「心不全」によって生じる胸水の患者さんは、『血流の悪化』が顕著で、その結果『水の停滞』が進みます。また、抗癌剤治療により肝臓や腎臓などの臓器内血流の悪化が過度に進んでいるケースも多く見受けられます。

漢方対策により血流を改善することで、胸水が留まらず排出されやすくなり、かつ、胸部への『水の貯留』を防ぎます。また、肝臓血流の改善は「アルブミン生成」を促進し『水の漏出』を防ぎ、、腎臓血流の改善は、排尿量の増加に導き『水の排出』を促進します。

② 炎症を改善する対策

癌や肺炎において、胸水が溜まる最も厄介な原因は「炎症」です。よって、胸水が溜まらないようにするためには、この『炎症』を抑え続けることが最重要ポイントです。特に癌では「胸膜の炎症」が存在していますので、この持続的な胸膜の炎症を抑えることが「胸水がたまらないようにする」ための必須条件となります。尿の出がとてもよく、1日に何度も排尿するにもかかわらず、一向に胸水が減らない、というのは、「炎症」への対策が十分でないからなのです。炎症が存在する限り胸水は溜まり続けますので、『炎症を改善すること』を第一優先しなければなりません。

③ アルブミンを増やす対策(肝臓でのタンパク合成の促進)

溜まっている胸水が排出に至るまでには一連の移動経路があります。
まず、水を血管内に移動させます。そして、血流とともに水は腎臓まで運ばれ、腎臓で濾過された後に膀胱に下り、最後に尿となって排泄されます。

〈胸水 → 血管内に再吸収 → 血流により腎臓に移動 →
腎臓で血液ろ過 → 水分は膀胱へ移動 → 排尿(腹水排出)〉

この過程の第一段階となる『水を血管内に再吸収させる』際に、アルブミンが必要となります。アルブミンは、胸水や足の浮腫などの『血管外の水分』を血管内に引き込む役割を担っていますので、血液中のアルブミン量を増加させる対策も重要なポイントです。

④ 排尿を促進し、水分代謝を改善する対策

身体全体の「水の流れ」を向上させ「水の排出」を促進するための対策です。漢方医学では五臓六腑の中の『脾』『肺』『腎』の三臓が水の流れをコントロールしていると考えられていますので、これら三臓の機能を高める漢方薬を用い、水の停滞を改善し、胸水排出へと向かわせます。

⑤ 腎臓機能の悪化を防ぐ対策

胸水が溜まっている癌や肝硬変の方々は、本来、腎臓機能は正常です。ただし、長期にわたる「利尿剤の服用」や「抗癌剤治療」などで腎臓機能までもが悪化しているケースが多いのです。
腎臓は、『水を排除する際の最後の出口』のような場所です。炎症が治まり、血流が改善し、アルブミンが増えたとしても、腎臓が悪い状態ならば胸水は排出できません。胸水を改善するためには、徹底的に腎臓を守り続けなければなりません。

⑥ 脱水症状を改善する対策

「溜まってはいけない場所に水が溜まっている」のが胸水や腹水・足の浮腫です。この時、多くのケースで「必要な場所(血管内・細胞・皮膚など)の水は不足する」という状況に陥っています。更に、利尿剤の長期服用によって、血管内の水は極度に不足します。

脱水状態は血流を悪化させると同時に、炎症の悪化を加速させます。「血流悪化」と「炎症悪化」は、共に胸水悪化を助長しますので、脱水に陥らないように注意しなければなりません。

脱水は怖い症状です。脱水の予防・改善には様々な注意点がありますので十分な対策と経過フォローが重要になります。(脱水を引き起こさない漢方対策と生活養生対策を組み合わせなければ
なりません。)

*参考までに、『癌による胸水』のための7つ目の対策をご紹介します。

* 免疫をコントロールする

癌による胸水の場合、ほとんどのケースで「免疫細胞のバランス異常」に陥っています。『リンパ球・好中球・好酸球・好塩基球・単球』のバランスに偏りが生じ、その結果、「免疫低下」と「炎症悪化」を同時に起こしています。
癌細胞を攻撃する免疫力を高めるために、そして、胸水排出のための炎症抑制のためには、複雑な免疫システムを理解した上で免疫コントロールする対策を順序正しく行わなければならないのです。

《胸水 症例集》 *服用の経過、効果の度合いには個人差がございます。

◆症例① 63歳 女性 膵臓癌→肺転移、肝臓転移

《服用の経過、効果の度合いには個人差がございます。》

抗癌剤治療を8ヶ月間継続。胆のう炎を併発し黄疸を発症。
ステントを挿入し、その後入退院を繰り返す。
肺への転移を確認し、3ヶ月後に胸水発症。
利尿剤投与を行うものの胸水は悪化する一方。
胸水穿刺を勧められるが、穿刺した後が心配なので経過観察。
緩和ケア病院に転院を機に、漢方服用を開始。

【諸症状】
咳  : 日中はやや咳き込む程度。夜中に咳が止まらない。
声  : 力のない小さな声。しわがれ声。
発熱 : 微熱が続く
排尿 : 良好(1日6~7回) *利尿剤服用
排便 : やや便秘(1~2日に1回)
むくみ: 足の甲
その他: 徐々に息苦しさが強くなっている。

【経過】

・漢方服用5日目くらいから咳が減少。10日目には、夜間やや咳をする程度ですぐに鎮まる。
・7日目から排尿量が増加し、排便も毎日となる。
(利尿剤を半分量に減量するが、尿量は増加している。)
・声はしわがれたままだが、大きな力強い声に戻ってくる。

〈数値の推移〉 ALB(アルブミン)  2.2 → 2.8 → 3.3
        CRP(炎症反応)   6.89 → 3.21 → 1.82
        CRE(クレアチニン) 1.89 → 1.24 → 0.97

・咳はほぼ消失。 息苦しさはやや残っている。
・足のむくみも完全に消失。
・起き上がって歩く気力が戻る。ゆっくりと歩けば息切れなし。
・服用25日時点での画像検査で、胸水は半分の量に減少。

【考察】
★胸水の原因の大半は「強い炎症」なので、徹底した『炎症抑制の漢方対策』を実施。予想以上に「CRP 低下」が早く炎症が治まるにつれ諸症状も改善している。

また、肝臓転移により肝機能が低下。その結果「アルブミン低下」に陥っていたので、『アルブミン増加の漢方対策』を実施。「総タンパク」の増加とともに「ALB 3.3」まで増加したことも胸水排除だけでなく、足のむくみの改善につながっている。

◆症例② 83歳 男性 肺癌→癌性胸膜炎

《服用の経過、効果の度合いには個人差がございます。》

肺癌発症後、放射線治療実施。経過は順調だったが、画像検査にて
肺癌の再発を確認。もう放射線を照射できないため、年齢のことも考慮し
抗癌剤等の積極的な治療をせずに経過を観察。
息苦しさを訴え始め、咳・痰も生じていることから画像検査をしたところ
片肺の3分の1ほどに胸水の貯留を確認。
胸水穿刺は拒否し、漢方服用を開始。

【諸症状】
咳  : 日中はやや咳き込む程度であるが、身体を動かすとすぐに息切れをする。
声  : 特に変わりなし。
発熱 : 微熱あり。
排尿 : 良好(1日5~6回)
排便 : 良好(1日に1回)
むくみ: なし
その他: 冷えと寒気が悪化している

【経過】

・漢方服用10日目で咳がほぼ消失。
・排尿量が増加するが、口の渇き・のどの渇きを強く感じる、とのことなので、「1日1500ml」の水分摂取を徹底する。
服用12日時点での画像検査で、胸水は半分に減少しており、また、1カ月後に画像検査の予定となる。

〈数値の推移〉 ALB(アルブミン)  3.5 → 3.7 → 3.9
        CRP(炎症反応)   4.09 → 1.52 → 0.76

・庭の畑仕事を毎日できるほどまで改善。
・癌細胞の大きさも変わらず悪化していない状態。
・服用43日時点での画像検査で、胸水は完全に消失。

【考察】
★漢方薬服用により、早く効果を得ることができた著効例。
効果が早く出た理由はいくつか考えられる。
①体に負担のかかる積極的な治療(抗癌剤など)をしていないため、比較的体力も充実していた。
②血液検査数値が悪いながらも安定している状況からの漢方服用。
③利尿剤の服用が全くなく、腎臓機能も安定していた。
④肝臓機能も良好で、アルブミンが甚だしく低下していない状態。

*抗癌剤を長期に続けている患者さんは、抗癌剤により肝臓・
腎臓の機能を低下させているケースが多い。
胸水排出のためには、肝臓と腎臓の働きが十分なほど効果が
出やすいこと言うまでもない。

◆症例③ 84歳 女性 肺癌→癌性胸膜炎

《服用の経過、効果の度合いには個人差がございます。》

肺癌が確認された時には胸水も発症しており、高齢という点からも積極的な
治療は拒否。利尿剤服用により、一度は胸水が減少したものの、再度貯留。
膝下全体がむくみ始めたころから、息苦しさや咳が悪化し胸水穿刺を始める。
「2週間に1回1000ml」の穿刺を約2か月間繰り返している。
穿刺のたびに疲労感を感じるようになり、体力・食欲が低下している状況
の中、漢方服用を開始。

【諸症状】
咳  : 穿刺直前には咳き込みが激しく、息苦しさが強い
声  : 声に力無く、しわがれ声
排尿 : 良好(1日3~4回)
排便 : やや便秘(2~3日に1回)
むくみ: 足の甲、足首、すね、ふくらはぎ
その他: 冷えと寒気が強い

【経過】

・漢方服用30日経過。穿刺直後すぐに漢方服用を始め、25日後に穿刺を実施。この1か月間で穿刺の間隔が「10日間」延長。
・水分摂取「1日1000ml」を守り、順調に排尿量も増加。便通も改善。

〈数値の推移〉 ALB(アルブミン)  2.6 → 3.1 → 3.6
        TP(総タンパク)   5.4 → 6.4 → 7.1
        Na(ナトリウム)   126 → 134 → 138

・漢方服用2ヶ月経過。検査では胸水貯留が確認されているが、穿刺しなくてもよい状態。前回から「35日間」穿刺していない。
・日中の咳はほぼ消失。(夜間はやや咳き込みあり)

【考察】
★肝臓の機能は悪化していない状態でのアルブミン低下なので、「タンパクの補給」を徹底的に行い、「アルブミン生成促進の漢方対策」と「炎症抑制の漢方対策」で十分に効果を得ている。

さらに、「脱水改善の対策」により、水の排出経路が維持され、胸水排出を促している。これらは穿刺を繰り返している方の特徴であり、穿刺によって失われる血液中の『水分』『タンパク』を補い、いかにアルブミン生成に繋げていくかがキーポイントとなる。

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