脾の病理≪虚証≫
●脾気虚(ひききょ)
脾気虚は「脾気」が損なわれた状態ですが、さらに以下の4つに分けられます。
①脾気虚弱(ひききょじゃく)
心身の疲労、飲食の不摂生、生まれつきの虚弱体質などが原因で、脾の『運化作用が低下』した状態です。食欲不振、食後のお腹の張りや眠気、全身の倦怠感、軟便、下痢などがみられます。
「脾気」を立て直す【補気健脾】が必要となります。
②中気下陥(ちゅうきかかん)※「脾気下陥」ともいう。
脾の『昇提機能が低下』した状態で、「脾気虚弱」の症状に加えて、めまいや胃下垂、脱肛など内臓下垂がみられます。
「脾気」を補い、気を引き上げる【升補脾気】が必要となります。
③脾不統血(ひふとうけつ)
脾の『固摂作用が低下』した状態で、「脾気虚弱」の症状に加えて、あざや鼻血が出やすい、不正出血、血尿、血便などの出血症状があらわれます。
「脾気」を引き上げ、出血をとめる【升補脾気・益気摂血】が必要となります。
④脾陽虚(ひようきょ)
「脾気」の『温煦作用が低下』し、冷えの症状があらわれてきた状態です。「脾気虚弱」の症状に加えて手足の冷え、寒がる、水溶性の下痢、むくみ、みぞおちがしくしく痛むなどがみられます。
「脾気虚」に「虚寒症状」が加わったものですので、脾の陽気を補う【温補脾陽】が必要となります。
●胃陰虚(いいんきょ)
飲食の不摂生や熱病の後、老化などで胃の陰液が消耗されてしまった状態で、虚熱による症状です。空腹感はあるが飲食物が入らない、口が渇く、便秘がち、みぞおちのつかえなどがみられます。
「胃の陰液」が不足したことであらわれる証ですので、胃陰を補う【滋陰養胃】が必要となります。