肝の病理
具体的な症状として、機能が異常に亢進している症状(実証)と、機能低下や慢性病に多い症状(虚証)に分けられます。
≪虚証≫
●肝血虚(かんけっきょ)
心身の疲労、出血過多、慢性病による消耗などで肝血が不足した状態で、主な症状はめまい、ドライアイ、目のかすみ、血色不良、筋肉のしびれやけいれんなどです。
肝の血が不足したことであらわれる証ですので、肝血を補う【補血養肝】が必要となります。
●肝陽上亢(かんようじょうこう)
肝血虚の状態が続いて陰陽のバランスが崩れ、「肝陰虚」「肝腎陰虚」を生じ、肝陽が抑えきれなくなることが原因です。
また、肝火上炎が長引くことで肝陰を消耗するために起こることもあります。
肝火上炎と似たような症状(イライラ、めまい、顔面紅潮、口渇など)が見られるほか、手足のほてり、のぼせ、動悸、物忘れ、疲れやすいなど体液不足の状態が現れてきます。
「肝陰虚」「肝腎陰虚」によって生じる上部(頭、顔面など)の熱症状ですので、肝陰を補い、肝の陽気を鎮める【滋陰・平肝】が必要となります。