心の生理≪心・小腸・舌≫
「心」という言葉は、「心臓」を思い浮かべ、より重要な器官として認識されています。中医学においても生命活動の中心を担っていますが、あくまでも五臓の一つであり、他の臓腑とのバランスが重要です。
西洋医学的な「心臓」の働きだけではなく、様々な身体の調節機能を担っているのが「心」なのです。
【心】は『血流の流れ』を調節しています。また『高次元の精神・意識活動』に深く関係しています。また、リンク先の一つに『舌』があります。
まとめると、「血の循環(心臓の機能)」と「精神面の統括(心〔こころ〕の機能)」、を調節しています。
これらがうまく働かないと、動悸や不眠、意識障害、舌や口に炎症が起こりやすい等が現れます。もう一方のリンク先である小腸は消化と吸収に関連しております。この機能がうまく働かないと下痢や尿の減少、食欲不振が現れたりします。
しかし、小腸は脾の機能によって統制されている面が大きいため、実際の小腸の病変は脾の調整によって対処することが多くなります。
1.心は『血脈』を主る~血の循環
「心」は『血を全身に循環させる』、という意味合いです。「血」は組織・器官を滋養する働きを持ちますから、「心」の気が満ち、その機能が正常であれば、全身くまなく栄養を与えることができるとされています。
≪症状≫
・失調~動悸・息切れ・弱々しい声・脈が渋る
2.心は『神明』を主る~精神の働きを統括
「心」は『精神の働きを統括する』、という意味合いです。中医学では、人の精神は五臓のすべてが働きを分担してその維持を図っているとされています。
「心」には、他の臓が担う精神面での機能を総称した『神』が宿っており、感情・思考・意識・判断、などの精神的な働きを維持しています。
「心」が充実していれば精神状態は穏やかになりますが、異常をきたすと不安感や不眠などの症状を引き起こしてしまいます。
≪症状≫
・失調~不安感・不眠・多夢・驚きやすい・言語錯乱・無表情・無反応
「肝・・・理性・判断・意志」
「腎・・・意志・信念」
「脾・・・思考・記憶・集中」
「肺・・・本能的感覚」を“心”が統括する
3.心は『舌』に開竅す~舌の働きを維持
「心」は『舌の働き』を担い、またその異常は舌に現れます。「心」は「血」を舌に送り出し、味覚をはじめとする舌の生理機能を維持しています。
「心」のバランスが崩れると、舌先が痛かったり、味覚異常を感じるとされます。
≪症状≫
・失調~味覚異常・舌先の痛み・舌の潰瘍
4.華は『面』にある
華とは輝き、つやのことで、面は顔の事。よって「心」の病変は顔の色つやに出るという意味です。
総じて判断すると、『心』は【気・血の失調】と大きく関わりがあると考えて良いようです。よって「血流悪化・自律神経のアンバランスに伴う“熱症状”“精神症状”」が『心』に関係が深い、と捉えます。