陰虚(水の不足)
気・血と並んで私たちの体を構成し、生命の維持に欠かせないものが「水(津液)」であり、汗や唾液、涙などの流動性のあるもの、皮膚や筋肉、臓器の細胞内、関節腔や髪の毛などを潤しているものすべてを指します。
中医学では体液の不足も疾患の原因の一つであると考えています。
水(津液)の代謝には多くの臓器が関係しますが、主に「肺」「脾(消化器系)」「腎」が深く関わっています。その臓器の働きが低下してしまったとき、むくみが生じたり、下痢をしてしまったり、目が乾いたりするのです。
乾燥の症状が主となる「水(津液)の不足」ですが、程度が進行しそれに熱症状が加わると「陰虚(いんきょ)」と呼ばれる状態となります。
「陰」は水分をあらわしますので、陰虚とは冷却水が不足することにより見かけの熱(虚熱)が発生した状態の事をいいます。夜(陰の時間帯)になると手足がほてり、布団を蹴ってしまう人はまさにこの状態です。
≪陰虚の原因≫
■飲食の不摂生
■栄養不良
■燥熱の邪気
■胃腸虚弱
■発汗過多
■排尿過多
■慢性下痢
■発熱
■過労など
≪陰虚の症状≫
『体内の潤い不足』
『熱症状』
◆皮膚・粘膜の症状
唇や口やのどの乾燥、水分を良く飲む、鼻が乾く、目の乾燥、皮膚がかさつく、から咳、声がしわがれる、声がかすれて出ない
◆ラジエーター機能低下による熱感
手足のほてり(特に手のひらや足の裏)、寝汗、のぼせ、微熱感、イライラ、頬部の紅潮
◆その他症状
耳鳴りやめまい、便が硬くコロコロしている、寝つきが悪い、すぐ目が覚める、更年期症状全般
◆生理の症状
月経過多、周期安定、不正出血
◆舌
紅、苔はほぼない、舌表面に裂け目がある