肝の生理≪肝・胆・目≫
【肝】は『気の流れを調節』し、また『血を貯蓄』します。また、血が多く含まれる『筋肉の調節』を行っています。そして、肝のリンク先の一つに『目』があります。
まとめると血液の運行と水分代謝を促進し、精神活動を調節していると言えます。
これらがうまく働かないと、イライラや怒りっぽくなったり、口が苦く感じたり、生理痛が激しくなったり、手足のしびれ、閉経、目の疾患等が現れます。
リンク先である胆は、胆汁を貯蔵し胆汁の分泌に関連しております。この機能がうまく働かないと黄疸が現れたり、口が苦かったり、決断力(胆力)が低下します。
1.肝は『疏泄』を主る ~「気・血」の運行・消化の補助~
「肝」は五行相関図で見ると「木」に当てはまります。性質としては木がぐんぐん育つように、のびのびとしていることが一番良い状態です。外界のストレスを受けるとのびのびできずに、気の流れが停滞し、各臓腑や器官に影響を及ぼしたり、イライラや憂鬱感など精神症状が現れます。
気を巡らせる働きに関わっているので、気の流れが正常であれば、血液の流れも順調で各臓器や器官に栄養が行き渡り、感情も安定します。
また、肝と胆は表裏の関係であり、飲食物の消化を助ける胆汁の分泌・排泄にも関わっているので、気の巡りが悪くなると胃もたれやゲップ、下痢、お腹の張りなどの症状が現れます。
≪症状≫
●気滞~肝・胆の経絡上に「張り・痛み」
●精神不安定~イライラ感・怒りっぽい・ため息・憂鬱感
●胃腸症状~下痢・腹痛・お腹が張る・胃もたれ・げっぷ
2.肝は『血』を蔵す ~血の貯蔵・補給~
肝は「血」を貯蔵し、供給するという働きがあることを指します。運動時には身体全体に血液を送り込み、睡眠時には肝に戻って蓄えます。
睡眠不足や不安定な生活リズムは、「血液自体の睡眠がとれず、浄化されないまま働いている」ということになりますので、『血液の質の悪化』『血液の流れの悪化』が生じることは当然と言えます。
≪症状≫
●肝血の不足~思考力低下・筋肉の痙攣・知覚麻痺・目の乾きや見えにくさ
3.肝は『筋』を主る ~筋の緊張・緩和~
「筋」とは、筋肉と骨についている『腱、筋、じん帯』などを指します。
「筋」の働きは『肝血』によって維持されています。こむら返りや筋肉の痙攣は、まさに肝の機能低下といえます。
また、疲労時や生理前に“まぶた”がピクピクとする症状も、肝と筋の状態をあらわしており、血が不足していることを意味します。
≪症状≫
●肝血の不足~筋肉の痙攣・知覚麻痺・ふるえ
4.肝は『目』に開竅する ~目の働きを維持~
「目」の生理的な働きは『肝血の滋養』にたよっています。肝が「目」に十分な血を供給できなければ、視力低下や目の疲れ、乾燥感などが生じ、このような場合肝に問題が起こっていると考えられます。
「目」は『血液の流れ』と『体内の不要な熱』に大きく影響を受けます。
≪症状≫
●肝血の不足~視力障碍・目の乾き・眼精疲労・目が赤い・目の奥が痛い
総合的に判断すると、『肝』は【気・血の失調】と大きく関わりがあると考えて良いようです。よって「血液の質・血流悪化に伴う症状」「自律神経系のアンバランスに伴う症状」が『肝』に関係が深い、と捉えます。