虚と実
「虚実」は病気の状態が活発な時を「実」、鎮静化している状態を「虚」と判断します。
日本漢方においては「体格が良く充実している状態を実」「体が痩せていて体力のない状態を虚」としていますが、中医学では体格によって虚実が決まるわけではありません。
体格がよくても「虚」が存在し、身体が痩せていても「実」が存在します。また、五臓六腑それぞれにも虚実があります。
「虚証」とは、身体に必要な「気・血・水」が不足している状態を指します。疲労などが原因となり、健康な時に比べて「不足しているもの」が生じたときに起こる病状を「虚証」と判断します。「不足している」状態なので【補う】事が必要となります。
対して「実証」は、「邪」が盛んな状態を示し、身体に「余分なもの」が存在しているために生じている症状を指します。「邪」には、菌やウイルスのように外から侵入してくるものがありますが、体内で生じる「内邪(ないじゃ)」もあります。
血液の流れが停滞している「お血」や、身体に余分な水が溜まっている「水湿」は体の中で生じた病変ですが、これらも余分なものが邪魔をしている状態ですから「実証」の一つとされています。
なお、この「虚証」と「実証」は同時に存在することも多々あります。